速足野菜と競争する
~地元農協の挑戦~
産地直送の野菜や果物。スーパーに並ぶ色とりどりの輸入野菜と比べると、一見地味で、値段も少し高いかもしれません。しかし、その土地の気候風土で育まれた農産物は、新鮮で栄養価も高く、味も格別です。
しかし近年、消費者ニーズの多様化や輸入農産物の増加により、価格競争が激化し、地元農産物の消費は伸び悩んでいました。
若い担い手達が集まった農業組合とopelatte(オペラテ)で、行った取り組みについてご紹介します。
「廃棄される部分にも価値がある。見方を変えれば、新たな魅力が生まれる。」
「美味しいのはわかっている。でも、どう伝えたらいいんだろう?」
生産者の方々の声に、私たちも頭を悩ませていました。消費者は、手軽に手に入る輸入野菜に流れてしまい、地元農産物の魅力に気づいてもらえない。そんなもどかしさを感じていました。
ニンジン葉のブレイクスルー
ある生産者から「ニンジンの葉っぱをなんとか活用できないか」という相談がありました。
通常、廃棄されてしまうニンジンの葉。しかし、実はβ-カロテンやビタミンC、カルシウムなど、根の部分よりも栄養価が高いのです。
私たちは、この「ニンジン葉」に注目しました。レシピを開発し、試食会を開催。栄養価の高さや調理方法を積極的に発信した結果、消費者の関心を集めることに成功しました。
今では、ニンジン葉を使ったふりかけやお茶などが商品化され、地域の特産品として人気を集めています。
この成功は、私たちに新たな視点を提供してくれました。
地元の魅力を再発見
ニンジン葉の成功体験をきっかけに、私たちは、地元農産物の新たな魅力を発掘することに力を注ぎ始めました。
例えば、規格外で市場に出回らない野菜や果物を使った加工品の開発。地元の伝統野菜を復活させるプロジェクト。農家と連携した食育イベントの開催など、様々な取り組みを行っています。
これらの活動を通して、消費者の地元農産物への関心は高まり、生産者と消費者の距離も縮まってきました。
また、私たちは、農産物を通して地域の魅力を再発見できるような機会も提供しています。
例えば、農園での収穫体験や、地元の食材を使った料理教室、農業体験と宿泊を組み合わせたグリーンツーリズムなど。
これらの体験を通して、消費者は、農産物の美味しさだけでなく、それを育む自然や人々の温かさを感じることができます。
速足野菜との競争に勝つために
グローバル化が加速する現代において、農産物もまた「世界の野菜」との競争にさらされています。
しかし、私たちは、地域に根ざした農業こそが、持続可能な社会を実現するための鍵だと信じています。
私たちはこれからも、生産者の方々と共に、知恵を絞り、工夫を重ね、この土地ならではの農産物を育て、その魅力を発信していきます。
そして、消費者の皆様に、安全で美味しい農産物を提供するだけでなく、心も豊かになるような食体験を提供することで、地域社会に貢献していきます。