コンプライアンスの内在化
~現場に根付く共通言語を目指して~
T社は、全国に拠点を展開する基盤事業を営む企業です。事業の性質上、各拠点の規模や役割、顧客層も異なり、コンプライアンスに対する意識や取り組みにも差が生じやすいという課題を抱えていました。本社主導でコンプライアンス研修や啓蒙活動を実施していましたが、各拠点の温度感との乖離を感じていたのです。opelatte(オペラテ)と共に進めた改善について紹介します。
倫理的な行動規範の浸透
拠点による温度差
本社ではコンプライアンスの重要性を強く認識し、法令遵守はもちろんのこと、倫理的な行動規範の浸透にも力を入れていました。しかし、地方の拠点では「本社の方針は理解できるが、現場の実情に合わない」「コンプライアンス研修の内容が抽象的で、日々の業務にどう活かせば良いのかわからない」といった声が聞かれました。
特に、長年同じやり方で業務を行ってきたベテラン社員の中には、コンプライアンス意識の向上に抵抗を感じる人もいました。また、拠点によっては、コンプライアンス担当者が不在、もしくは兼任で、十分な活動ができていないケースも見られました。
外部に頼らない体制構築
こうした課題を解決するため、コンプライアンス推進体制の見直しに着手しました。外部の専門家に頼るのではなく、各拠点から選抜した社員で構成する「コンプライアンス推進チーム」を結成したのです。
推進チームは、各拠点の意見を収集し、現場の実情に即したコンプライアンスマニュアルを作成しました。マニュアルは、具体的な事例を交えながら、わかりやすい言葉で記述されています。また、eラーニングシステムを導入し、場所や時間に縛られずにコンプライアンス研修を受講できる環境を整えました。
さらに、推進チームは定期的に各拠点を訪問し、コンプライアンスに関する意見交換会や研修を実施しています。現場の社員と直接対話することで、疑問や不安を解消し、コンプライアンス意識の向上を図っています。
経営層の意識改革
コンプライアンスの内在化には、経営層の意識改革も不可欠です。経営層向けのコンプライアンス研修を定期的に開催し、コンプライアンスの重要性を改めて認識させるとともに、リーダーとしての役割を明確化しました。
また、コンプライアンスに関する目標を設定し、達成状況を評価指標に組み込むことで、全社一丸となってコンプライアンスに取り組む体制を構築しました。
これらの取り組みの結果、コンプライアンスに対する意識が向上し、共通言語として浸透しつつあります。コンプライアンスは、もはや「やらされるもの」ではなく、「自ら実践するもの」へと変化したのです。
企業Tは、今後も継続的な改善に加え、コンプライアンスを企業文化として根付かせ、社会からの信頼を獲得していくことを目指しています。